夏目漱石の漢詩を鑑賞して参ります。
夏目漱石之漢詩鑑賞 第二十八作
木屑録詩 十四首中 其之十一
天明舟達三堀旗亭即事
天明に舟は三堀に達す 旗亭即事
烟 霧 夢 夢 見 不 看
烟霧夢夢として見れども看えず
黎 明 人 倚 碧 欄 干
黎明 人は倚る 碧欄干
江 村 雨 後 加 秋 意
江村雨後 秋意加わり
蕭 瑟 風 吹 衰 草 寒
蕭瑟風吹いて 衰草寒し
【語釈】※天明ー夜明け。 ※三堀ー千葉県野田市三ツ堀。 ※ 旗亭ー居酒屋。料理屋。 ※烟霧ー靄や霧。夢夢ーくらいさま。明らかでないさま。 ※黎明ー明け方。 ※人倚ー人がよること。ここでは作者自身。 ※江村ー水辺の村。蕭瑟ー秋風のもの寂しく吹くさま。
◇七言絶句上平声十四寒の韻(看・干・寒)
【通釈】霧が立ちこめ見ようとしても見えない夜明け欄干に寄り掛かっている。雨上がりの江村は秋も深まり寂しげに風がふき、しおれかけた草がいかにも寒そうである。
【補説】初秋の黎明ですね。私はまだ関東に行ったことがない、根っからの大阪人で一度太平洋を見てみたいですネ。熊野ではみましたけれど。
人よりも少しく前に泳ぎ出で太平洋を我がものとする 拙作
つづく
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